薔子〜かごめかごめのうしろの正面〜


(2001年9月中旬撮影)

もともと。幼少時より「お人形」が大好きで。
『小公女』のエミリーや、
『レ・ミゼラブル』でコゼットが買ってもらったお人形に
本筋ほったらかしで憧れたものでした。

そう。大きな。着せ替えのできる(そして着替えを沢山持っている)
お人形に。

長じて「人形遊び」から離れても、
アンティークドールや創作人形の展示を見に行ったり、
高くて見るだけの写真集にうっとりしたり。

いつの日か、私のたったひとりの人形と
出会える日を夢見て。

ながらく、洋風の人形ばかりが
興味の対象だったのですが
いつしか市松人形にも惹かれ始めました。

だって。
私は「お着物大好き!」な着道楽になってしまっていたので。

そうなると、自分も着たいが人形にだって着せたい!
ジェニーとそのフレンドドール、
リカちゃん、幼稚園のおともだち
果てはコンパクトドール(いずれも(株)タカラ)まで、
問答無用に着物を着せて。

それはそれで楽しかったのですが、
「理想の人形」には洋装も和装も
似合って欲しいと思うようになりました。

だったら。市松人形よりもやや洋風の顔立ちが理想的です。

けれど、私が心惹かれる子は何故か、非売品であったり、
30〜50万もしたり(それだけ出すなら自分の着物買うよ。笑)して、
どう考えても入手は不可能。
なかなか理想の子には巡り会うことはできませんでした。



ボークスのスーパードルフィーを知ったのは、
2000年の2月。
まだ大阪店が心斎橋にあった頃です。

SD−特に「めぐ」は理想的でした!

しかし、高い。
そして、でかい(大きい人形は理想だけどスペースの問題がね・・・
今も昔も)。

おまけに当時は店頭在庫もなく、写真を見ての受注生産。
決断するには至りませんでした。

それでも、SDは「いつか、欲しいもの」になりました。

会員になったので、
ボークスからのペーパーが届くようになり、
当時無縁のものと思われた「ドルパ限定」の
和装SDには常に心動かされるはめに・・・。
SDのカタログだけ買って、飽かず眺める日々でした。

そう、もう一押し何かがあれば
2000年の年末に「美白めぐ」が
うちの子になっていたでしょう。

単に、着物の支払い後で
すっからかんだっただけですが(笑)。



月日は廻り、運命が一転したのは
2001年の9月の4日。
趣味道楽同士である八雲みゆき様と
大阪に遊びに行った際、
昼食の席で「いいもの見せたげる」と
彼女が取り出したモノ。

ーそこには。私がずっと欲しかった「めぐ」の写真がっ!!
「ずるい!私が買うつもりだったのにーっ!!!」
正直、目の前がまっくらになるほど怒り狂いました。
せっかくのイタ飯の味もわからない程に。

まだ、その時まで大阪SRに行ったことがなかったので、
そのあと即行で連れて行ってもらいました。

完全に頭に血がのぼってましたね。
普段、めったに怒ったりしないタイプなんですが。

今思うと、理不尽な私の激昂に八雲女史も驚いたんではないかと・・・。
秘めた片思いの相手を友達に盗られたような心理だったのかもしれません。
意思表示や行動にでなかった自分が悪いのですが・・・。

さて、はじめて足を踏み入れた大阪SRでは、
お嬢様方がお待ちでした。
もう、すっかり買う気まんまんでした(笑)。

片思いの相手だった「めぐ」は先を越されたので
購入意欲がなくなっていました。
もともと、パープルアイが理想なので、
「サラ」が第一候補。
けれど、妖精めいた「のの」の魅力も捨てがたい・・・。

当日には決断できずに帰宅したのですが、
その時からSD達による「かごめかごめ」が始まったのです。

「うしろの正面だぁーれ?」

昼も夜も、もちろん仕事中も、「かごめかごめ」は続きました。
私の人生でこれほど悩んだことはなかったかもしれません(笑)。


「ののにしよう」


悩みぬいた末たどり着いたのは「のの」でした。

いつの間にか、ちょこん、と、私の後ろで待っていたのです。

髪の毛は、ウィッグを黒髪ロングストレートにすればいい。
(私は、黒髪ストレートヘア至上主義です。笑)
瞳も好きに替えればいい。
「のの」が、たったひとりのわたしの理想の・・・。


名前だけは、もうずいぶん前から決まっていました。

「薔子」(しょうこ)

薔薇のように美しく咲き誇る少女。
少女だから、深紅でなく可憐なピンクの薔薇のつぼみ。
時には雨に打たれて儚げな顔も見せるでしょう。
そんな思いをこめて・・・。

(しかしこの名前、読めないひと多い!
中には「薔薇って漢字あったの?」とか言われるし。
中学くらいのとき、必死でおぼえたものですが。あと鬱とか。笑)



運命の日。2001年9月10日
(つまり、6日間悩みぬいたのね)

場所は本社ショールーム。

意を決して訪れたのに、やっと決めたのに、
「のの」がいないっ!

ずいぶん迷ってからおそるおそる店員さんに声をかけました。
「ののが欲しいんですけど、いますか?」
ののは・・・ショーケースの下のストックから現れました!
かくれんぼしてたのね。

当時の本社SRの店長には
たいへんお世話になりました。

「黒髪のロングストレートのウィッグが欲しい!」
と言うと倉庫から取り寄せていただきましたし、

「目は紫にしたい!」
と言うといろいろ試していただけましたし。
結局、目の色は黒目がちなパープルグレイに決定しました。

たまたまその時、ねこのて&まゆら様がいらしていて、
初心者にこころよくメイクに何を使うかとか、
ショーケースに飾ってあってひとめぼれした
「ゴスロリ風シスター服」の
型紙付きの本を教えていただきました。
出だしから非常にラッキーだったと思います。

こうして、薔子は私のもとに舞い降りてきてくれたのです。



晴れて、<私の人形>になった薔子ですが。

「な、なんて、
かわいいんだーっ!!!」(爆笑)

私の天使は、想像以上の可愛さで、ハート、鷲掴み(笑)。

ただ、メイクが私の好みでなかったので、
一旦、落として、
アクリル絵の具で「ちょいちょいちょい」(笑)。

ますます可愛くなりました!
こうして、私と薔子の愛の日々は幕明けです。

もう、可愛くて、可愛くて。
初めの頃は、その姿を見つめていたくて、
就寝時に電気を消せませんでした(笑)!

あんまり可愛くて
「何でもしてあげる!」状態。

実際、私にできうるかぎりは・・・と、
蝶よ花よと育てた結果、たいへん贅沢な姫君となってしまいましたが、
それはまあ、当然といえば当然。

初めは、やはり「娘」とか「妹」とか言ってましたが、
徐々に「それは違う・・・」と思い始めました。

見た目はともかく、薔子は私でした。
自己の投影、理想の具現、願望の充足。
そして、幼少時からのトラウマが反映されていることに思い至りました。

さすがに、自分の深層心理にぶちあたって、
唖然とはしましたが、

「かわいいから、いいや」

で、全て片付けることにしました(笑)。
いいの。薔子が可愛けりゃ、幸せなんですから。


薔子をお迎えして1年が過ぎました。
飽きっぽい私なのにまだまだ彼女に夢中です。

学生時代、家庭科が天敵だった私なのに
薔子のためならとせっせとお裁縫三昧な日々。
(ミシンが使えないので、もっぱらお着物縫ってます)


SDの他のお嬢様方も魅力的で、
正直欲しいと思わないでもないですが、
薔子がいます。

もう「かごめかごめ」する必要もありません。

ずっと欲しかった私の「たったひとり」の薔子が
こうしてそばにいてくれるのですから。


薔子との蜜月はまだまだこれからも続いていくでしょう。


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